2008年 07月 05日
『君が望む永遠』(アージュ,2001)のドイツ語吹替版アニメ『Die Ewigkeit, die du dir wünschst』の「おまじない」(Der Zauberspruch)について。 So wie die Hexensterne am klaren Nachthimmel entsteigen, Werden sich unsere verschmelzten Herzen nicht trennen. Auch wenn sich unsere Hände von einander lösen sollten, So lange werden wir beide es nicht vergessen. 全体としてみれば、2つの文、4つの節からなっています。 So wie die Hexensterne am klaren Nachthimmel entsteigen, werden sich unsere verschmelzten Herzen nicht trennen. これが第1文。 Auch wenn sich unsere Hände von einander lösen sollten, so lange werden wir beide es nicht vergessen. これが第2文。 どちらの文もともに、「副文+主文」の構成になっています。 では、句ごとに。 第1句 So wie die Hexensterne am klaren Nachthimmel entsteigen, "so wie・・・" は、「・・・のように、・・・と同じように」。 "die Hexensterne" 、これがこの節の主語で、「星」。複数形です。単数だと "der Hexenstern"。 ただ、「星」だけなら、 "die Hexensterne" でなく "die Sterne" でよかったはず。わざわざ "hexen-" をくっつけたのは、リズムを整えるためでしょう。それゆえ、ここではさほど重視する必要はないでしょうが、一応、「魔法の、不思議な」といった意味が付加されることになります。 "am klaren Nachthimmel"。 "am" は "an dem" の短縮形。"an" は3・4格支配の前置詞で、ここでは「位置」を示すので、3格になっています。意味はいろいろありますが、英語だと "on" あたり。 "klaren" は英語の "clear"。ただし原文には該当なし。 "Nachthimmel" 、これは "Nacht (night,夜)"と "Himmel (空、天)" を組み合わせたもので、「夜空」。 最後、動詞 "entsteigen"。副文(従属節)なので「定動詞後置」です。「出てくる、浮かび上がる」といった意味。日本語原文の「瞬く」とはずれますが、これも調子を整えるためにあえて選んだのではないかと。 「澄んだ夜空に星々が出ているように」 という感じでしょうか。 第2句 werden sich unsere verschmelzten Herzen nicht trennen. 語順が多少ややこしくなっていますが。助動詞 "werden" を用いた未来・推量表現です。 主語は "unsere verschmerzten Herzen"。 "unsere" は "our"。 "verschmerzten" は、動詞 "verschmerzen" (溶け合う、混ざり合う)の過去分詞で、それが形容詞として使われている。 "Herzen" は "Herz" の複数形。英語だと "hearts" ですね。 この3つをあわせて、「わたしたちの溶け合った心」。 文末の "trennen" は、「分ける、離す、隔てる」を意味する動詞。他動詞です。再帰代名詞 "sich" を伴って、「自分自身を離す」、つまり「離れる」、と。そして "nicht" で否定、「離れない」 「わたしたちの溶け合った心は、離れることはないだろう」 これで第1文が完結します。 第3句 Auch wenn sich unsere Hände von einander lösen sollten, これも副文。"auch wenn・・・" は、英語だと "even if・・・" に相当するでしょうか。「たとえ・・・としても」。 主語 "unsere Hände"。 "unsere" は 「われわれの」でした。"Hände" は "Hand (手)" の複数形。 動詞 "lösen"、これも「離す」。第2句の "trennen" も「離す」ですが、この "lösen" は、「解く、ほどく」という意味が強い。もっぱら物理的に「離す」感じでしょうか。 「溶け合う」に対して「離す」、「繋がり合う」に対して「解く」。このあたり、どちらも単に「離す」としている日本語原文よりも手が込んでいるといえるかもしれません。 これも他動詞で、再帰代名詞 "sich" を伴って自動詞的に。そして否定。 "von einander" は成句で、「互いに、相互に」。 最後 "sollten"―原形は "sollen"、話法の助動詞です―は、接続法Ⅱ式で、「極めて低い可能性」を表す。"auf wenn・・・" とあわせて、「もし万が一・・・としても」ということになるでしょうか。 「たとえもしもわたしたちの手が互いに離れるようなことがあったとしても」 第4句 so lange werden wir beide es nicht vergessen. 第2文の主文です。 "so lange・・・" は、英語でいうところの "as long as・・・" 、すなわち「・・・する限りは」。 "werden"、これは第2句と同様、「未来・推量」を示す助動詞です。 "wir" は2人称主語、"we"。 "beide" は「両者、両方」を意味する代名詞です。 ここでは "wir beide" セットで、「わたしたち2人」。 "vergessen" は英語の "forget"、「忘れる」です。 そして否定。 その目的語にあたるのが "es"。「それを」です。前の文の内容を指す。 「2人がそれを忘れない限りは」 忘れない限り「どうなのか」、ということは直接は述べられない。もちろんこれも「離れない」ということを意味しているわけですが。ここでも原文が忠実に再現されている。 全体として、日本語原文が忠実に再現されているのはすぐにわかります。 それだけでなく、リズム・語調にもかなり気を配られているようです。 ・各句末には動詞の不定形がきているので、すべて "-en" と、音が揃っている ・第1句と第3句は、ともに "so" が先頭に置かれている ・原文にはない、または意味の異なる語が用いられている その結果、確かにリズムは非常によろしい。 かなり気合を入れて翻訳したのかもしれません。 あれだね。迷走してるってレベルじゃないね。 誰が得するんだこの記事。 羽入 「サーセンwwwサーセンwwwwマジサーセンwwwwwww」 そんな日のこと、第232回の日のこと・・・
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| 2008-07-05 00:20
| すかてん
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